成功者が教えてくれた「棚からぼた餅」とは

「何かいいことないかなぁ~」と口をついて出る時がある。

だいたい1人で退屈な時間を過ごしている時だから深い意味はない。

だけど、この言葉が出ると必ず思い出す人がいる。

それは「棚からぼた餅」の話をしてくださったOご夫妻。

 

Oご夫妻との出会い 

Oご夫妻は私の実家の懐石料理店の常連様で、20年程前に母から紹介された。

当時のOご夫妻は60代後半でありながら、O氏はスラッとした長身で姿勢が美しく白髪は整えられ清潔感があり威厳あるオーラを感じる方だった。

奥様は小柄ながらシャンとした立ち姿に、長いグレイヘアーを後ろでコンパクトに纏め、綺麗で頭の切れる方だった。

 

 

 Oご夫妻にはお子様がいらっしゃらなかった

お子様に恵まれなかった悲しい過去の話もしてくださる程、私達夫婦は信頼され様々なお話を聞かせていただいた。そして、よくご自宅にご招待してくださったり、ゴルフに誘ってくださったりもした。

もし、ご自身にお子様がいらしたら、私達ほどの年齢であったかもしれない。

O氏は特に主人の事を大変気に入ってくださっていた。

私達夫婦は甘えすぎず、敬意を持ち、ちょうど良い距離感を意識してお付き合いをさせていただいた。

 なぜならば、Oご夫妻は過去に貿易会社を経営されており多額の財産を所有していた。

いわゆるビジネスの成功者である。

その額は、Oご夫妻が仰るには「死ぬまでに使い切れるかわからない額」とのこと。

その為、お子様がいらっしゃらないと言う事もあり、過去にはOご夫妻の財産を狙った様々な人が近づいてきたと言う。

私達の「甘えすぎない距離感」とは、そのような人物と同類に思われたくなかったからだった。

 しかし今思うと、Oご夫妻はビジネスの成功者なのだから、確かな人を見る目をお持ちだったに違いなく、私達の気遣いは無用だったかもしれない。

  

 

 

安く買った土地が高額で売れた

Oご夫妻は趣味も沢山お持ちで、O氏の当時の趣味は、釣りやゴルフ、ステンドグラス作り。奥様は習字に詩吟、三味線を嗜まれていた。

充実した日々を送られているOご夫妻はとても素敵に見え、このように歳を重ねられたら幸せだろうなと思ったものだった。

  

ある日、Oご夫妻のご自宅でお喋りしていた時に「二束三文で買った土地が高額で売れた」と言うお話しになった。

若い頃、周りに何もなくただの野っ原だった土地を人に頼まれて購入したのだが、その土地の近くを電車が通る事になって立派な駅が建ち、土地開発がされ素敵な住宅街になったのだ。

今では都心の誰もが知っている高級住宅街だ。

「土地を購入した時は価値のない土地で何の期待もしていなかったのに、まさに”棚ぼた”だよ」とO氏は目を細めて軽く笑った。

ちょっと考えただけで相当な金額だったと推測でき、ただただ驚く主人と私。

 

 

 Oご夫妻の「棚からぼた餅」

「棚からぼた餅」と言うフレーズが出た際にO氏が仰った。

「よく”棚からぼた餅”って言うけれど、アレは棚の上にぼた餅を置かなきゃ落ちてこないんだよ。ぼた餅が置かれていない棚の下で幾ら口を開けて待っていても、ぼた餅なんか落ちてくる訳がないからね。」

その言葉に奥様が「若いうちにぼた餅を棚の上に置く努力をなさい。いくつもぼた餅を置いたら、いつか何個か落ちてくるかもしれない。」と付け加えた。

 

これは土地の投資と言うことではなく、広い意味を指していた。

主人の捉え方、私の捉え方、人それぞれの立場によっての捉え方があると思う。

そしてぼた餅を置く際には決して期待してはならない。

それが「棚ぼた」なのだ。

  

 

棚の上にぼた餅を置けているか?

長男が産まれて間も無く、主人の仕事の都合で私達はその土地を離れることになった。

最後に奥様にお会いしたのは8年ほど前。O氏が亡くなられ、お線香を上げさせていただく為にご自宅に伺った時だ。

今では年賀状のやり取りとお電話のみとなってしまった。

長男が産まれた際にいただいた、O氏の手作りのステンドグラスは今もリビングに飾られている。

 

 

そして「何かいいことないかなぁ~」と口をついて出ると「棚ぼた」を思い出し、「私は棚の上にぼた餅を置けているか?」と自問するのだった。

 

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棚にぼた餅を置けているか?


 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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